結婚、入籍、内縁の夫婦

結婚が成立する要件

結婚をするには、男満18歳、女満16歳以上であることがまず必要です。未成年者が結婚する場合(18歳以上20歳未満の男と、16歳以上20歳未満の女)は、それぞれの両親の一方の同意が必要です。ちなみに、親の同意がなく婚姻届が出され、誤って受理された場合も婚姻自体は有効に成立します。成人の男女が結婚する場合は、婚姻届に成人の証人2名の署名捺印が必要です。
結婚が有効に成立するには、届出を提出して受理されるだけでなく、「婚姻意思」「婚姻届出意思」が必要になります。(この二つの意思は、似ていますが別物です。)
「婚姻意思」とは、お互いが本当に夫婦となろうとする意思のことをいいます。たとえば、外国人女性が、日本での在留許可や日本国籍を取得する手段とする意思のみで、婚姻届を提出しても婚姻は無効ということになります。
「婚姻届出意思」とは、婚姻届を提出するという意思です。婚姻意思と一緒じゃないのか?と思われるかもしれませんが、内縁(事実婚)にとどめておくということもあるので、婚姻意思はあるが、婚姻届出意思は無いということもあり得るわけです。

内縁の夫婦

内縁とは、社会一般においては夫婦としての実質をもちながらも、婚姻の届出を欠いているために法律上の夫婦と認められない関係をい言います。上で述べた「婚姻意思」はあるが、「婚姻届出意思」はないというような場合です。内縁には、婚姻に関するいくつかの規定が類推適用されます。「同居・協力・扶助義務」「貞操義務」「婚姻費用の分担」「日常家事の連帯責任」などは婚姻と同じように扱われる場合があります。「夫婦の同氏」「成年擬制」「配偶者相続権」「姻族関係」「子の嫡出性」については同様には扱われません。

婚姻障害事由

婚姻意思と婚姻届出意思があれば、誰とでも結婚できるというわけではありません。民法には、結婚できない場合が規定されています。このような規定に当てはまる事由を、「婚姻障害事由」といいます。以下が婚姻障害事由です

近親婚

再婚禁止期間

女性は前婚が終了した日から6ヶ月間は婚姻できません。前婚の終了した日から6ヶ月経過するまでの間に出産した場合などは6ヶ月待つ必要はありません。これは、子供の父親についての民法の推定規定が重なって問題となるのを避けるためですが、6ヶ月間という期間の合理性の点、男女平等原則の点などから問題があるとして改正すべきとの意見が強いようです。

婚姻届の提出(入籍)

婚姻届は、法律上の婚姻を成立させるためには必須の手続です。婚姻届の用紙は、市役所、役場などに行けばもらうことができますので、提出したい日が決まっている場合などは、前もってもらっておいて、必要な記載事項、署名捺印を済ませておきましょう。婚姻届の提出先は、どこの役所にでも提出できます。また、土曜、日曜、祝日などの閉庁日、夜間、早朝など執務時間外の時間でも受理してくれますので、記念日に提出したいがその日が休日、という場合でも提出することも可能です。ただし、執務時間外の提出、郵送での提出などは特別な事情がなければ避けたほうがいいでしょう。執務時間外の提出の場合は、担当の職員が不在であれば、書類の不備があっても適切なアドバイスが受けられないこともありますし、郵送の場合は、誤りがあれば一度返送されたものを訂正してもう一度送付する必要があります。代理人による提出も可能ですので、忙しくて行けないというような方も執務時間内に代理人に提出してもらうなどしたほうがスムーズに手続を完了できるかもしれません。
新夫婦の双方、もしくは一方のこれまでの本籍地ではない役所に婚姻届を提出する場合には、提出先の役所に婚姻当事者の戸籍がないため、婚姻届に戸籍抄本(又は謄本)を添付する必要があります。また、婚姻届提出の際、虚偽の届がなされるのを防止するため、提出しようとする人と婚姻届に記載されている人の本人確認が行われますので、運転免許証等の顔写真つきの資料を持参する必要があります。婚姻する2人のうちの1人、又は代理人が提出するというような、窓口で本人確認が出来ない場合は、婚姻届を受理した役所から本人確認できなかった人に対して婚姻届を受理した旨の通知がされるようになっています。

婚姻後の本籍地

婚姻届を提出すると、夫婦には新しい戸籍が作られます。新しい本籍地は日本国内であれば住所地に関係なく、どこでも自由に決められます。沖縄県で新居を構え生活する夫婦が、東京都のとある地を本籍地として婚姻届を提出することも可能ですが、戸籍謄本等を取得する場合など、郵送で取り寄せるなど煩わしいことになりますので、あまり現実的ではありません。

婚姻後の氏

婚姻後、夫婦は同じ「氏」(苗字)を名乗ることになります。(夫婦同氏の原則)どちらの氏にするか婚姻届提出前に決めておく必要があります。男性の氏を名乗る場合が大多数(97%以上)だと思いますが、甲野太郎と乙山花子が結婚して、乙山姓を名乗る場合でも、甲山太郎が乙山家の養子になったというわけではありません。